リラクゼーション、美容・健康に関連するサービス市場が拡大を続けています。また、今後さらなる高齢化が進んでいくと、整骨院をはじめとした治療院に通う方もさらに増加していくと考えられます。 こうした動向を反映してか、福岡においても、街を歩けば整骨院の看板をあちこちで見かけますし、整骨院、治療院を開業される方も増加していると思います。 そのため今後の同業界においては、同業者間での競争はますます激しくなると予想されるとともに、治療院以外のリラクゼーション系の事業者とも競争していくことを肝に銘じておくことが重要です。したがって、他店との差別化を意識した競争戦略と顧客リピーターを獲得することに主眼をおいた方針や体制を整備しておくことが望まれます。 |
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整骨院開業の開業形態としては様々考えられます。例えば、出張形態(デリバリー)で開業、自宅活用(自宅兼事業所)での開業、店舗(テナント)を借りての開業があります。それぞれの特徴を下記にまとめます。
@ デリバリー形態
デリバリー形態で開業する場合には、店舗開設に伴う設備投資や経費などのイニシャルコストを抑制することができるのが大きな利点です。つまり、経営者ご自身がいれば、ビジネスを展開できるため、開業当初から金融機関に多額のお金を借りる必要がなく、初期準備金等を予め用意することが難しい人には適した出店形態と言えます。
一方、ユーザ目線からすると、マッサージとはいえ、赤の他人を自分の部屋を解放して施術を行うことに抵抗があることも考えられます。お客様からして、こちらへの警戒心が高まり、新規の顧客様を開拓していくという点では不利な側面もあります。
福岡でのビジネスを考えると、福岡県外からこちらに出張に来る出張組などを取り込み、宿泊先であるホテルでのサービスという需要を確保するなどの一手をうってもよいかもしれません。。
A 自宅兼事業所
自宅兼事業所として当面は店舗をかりないで開業する形態についても、店舗への設備投資や諸々の経費などイニシャルコストを抑えることが可能になります。しかしながら、自宅兼事務所で使用するマッサージ部屋の若干の改装等を伴うこともあり、全く初期投資が発生しないとはいえません。一方、営業場所を固定した店舗でビジネスを展開できるため、ユーザー目線からして安心感を得られるほか、近隣のご近所さんの集客を期待できます。
ただし、自宅兼事務所においてはどうしてもプライベートとの切り離しという問題がつきまといます。つまり、自宅兼事務所(営業所)での開業では、自分の生活との混在、同居されているご家族、ご親族との兼ね合い、公私混同による顧客不便性につながるリスクなどについてしっかりと検討することが必要です。
B 店舗賃貸による形態
店舗賃貸して事業を展開する利点としては、ともかく、リラクゼーションビジネスの集客に適した場所を選択することが大きいと言えます。そして、やはりユーザー目線からしてしっかりとした店舗で営業していた方が安心感、信頼感につながります。
どうのような場所に店舗をだすか、立地の問題については、十分に検討することが求められます。どのようなところに店を出すかで、その後の商売の状況を左右しますし、人通りの良い場所であれば、広告宣伝も期待できます。もちろん賃料は高くなりますが、人通りが多い場所、看板をだしても目立ちやすい、アクセスをしやすい立地を選ぶことで、ビジネスのさらなる展開が可能になります。
ただし、賃料が多額となってしまう可能性もあり、採算の検討はかかせません。もちろん福岡でいえば、福岡でいえば博多や天神だと、人通りは文句なく良いのですが、賃貸料はとても高い水準で推移しています。
整骨院に関するビジネス推進において、お客様にサービスを提供して収益を向上させるとともに、コストを適切にコントロールしてなければなりません。ここでは、コストコントロールの例として、整骨院のコストシミュレーションを行って、各月のコスト分析をしてみます。ただし、シミュレーションはあくまでもある整骨院を仮定した場合のサンプルとなりますのでご留意ください。
まず、コスト分析する際に重要な点として、コストを変動費と固定費に分割してみることが重要です。最初に、変動費については、販売量の増加・減少に連動して発生するコストであり、売上に比例することになります。一方、固定費は販売量の増加・減少には関係なく、毎月一定の金額がでていくコストになります。整骨院を開業するケースにおいては、この固定費が占める割合が高くなる点に留意することが重要です。この固定費をどのようにコントロールしていくか、継続的にチェックして経営管理することが重要です。
そして固定費コントロールをしていく上で、整骨院の事業運営で大変高い割合を占めるのが、上述した賃貸料になります。
(整骨院運営コストシミュレーション)
賃貸料 | 8万0000円 | 物件により賃貸料は変わってきます。(固定費) |
電気代など | 1万5000円 | 大きく変動することがなければ固定費と考えても良いでしょう。 |
宣伝費 | 1万5000円 | 変動費です。広告宣伝の量、質により経営への影響もかわってきます。 |
銀行借入の返済 | 5万0000円 | 借入する金融機関、返済額、利子によって金額はまちまちですが固定費と考えられます。 |
電話代 | 1万0000円 | |
その他経費 | 1万0000円 | 事業で必要な消耗品など、変動費と考えらえます。 |
トータルコスト | 18万0000円 |
ここで、もしアルバイトやパートなど雇用するケースでは、コストとして人件費を計上しなければなりません。
固定費の削減のためには、上記コストを毎月集計することからはじめて、それぞれの金額の増減を適切に管理することが望まれます。そして、コスト分析をしていった結果として、どの経費を節減できるかを考えておきましょう。例えば、宣伝広告に係るコストに関しては、集客の効果や宣伝の反響があまりない場合には、廃止することも検討しましょう。