安い月額料を支払い、複数の起業家などが、スペースを共有する、いわゆる「シェアオフィス」。このシェアオフィスや似たような形態の「コワーキングスペース」といった、近代型の貸事務所が、福岡に急増しています。
3年間で県内に約60ものシェアオフィスが登場
「2013年夏に、うちが開業した時には、福岡だけでなく、九州全体を見ても、シェアオフィスは全くなかったんじゃないですかね」。
そう話すのは、天神駅から徒歩4分の場所にあるシェアオフィス「天神ベース」代表の重松一也氏。
シェアオフィスやコワーキングスペースの情報を掲載するサイト「eシェアオフィス」のまとめでは、2016年6月1日時点で、福岡県内にあるシェアオフィスとコワーキングスペースは59カ所。うち福岡市内は44カ所、北九州市は8カ所、その他、飯塚市、久留米市、大牟田市、直方市、小郡市に設けられています。
重松氏の話のよるならば、実にここ3年弱で、60近くのシェアオフィスが新設されたことになります。
シェアオフィスの実態とは?
そもそもシェアオフィスとは、従来型の貸事務所とどう違うのでしょうか?
その最大のメリットは、一か月につき数万円程度の家賃を支払うことで、デスクや椅子、インターネット回線や電話が既に完備されたスペースを利用できることです。起業を目指す人にとっては、従来型の貸事務所を借りるよりも、時間もお金も節約できるとして、ニーズが高まっています。
実際に、前述のシェアオフィス「天神ベース」は、「月額1万5000円〜」という業界でも最安級のローコスト。フリーランスのデザイナー、システムエンジニアとの人脈は作りを目的に始めたそうですが、現在では、東京・大阪に本社を持つ企業が「福岡支店」として利用するケースも多いです。
シェアハウス、コワーキングスペース、レンタルオフィス、その違いは?
シェアオフィスと同様に、従来型の貸事務所よりも安く手軽に借りられるオフィスには、他にも「コワーキングスペース」、「レンタルオフィス」、「バーチャルオフィス」などがあります。その違いはどんなところにあるのでしょうか?
シェアオフィス=その多くが、図書館や塾の自習室のように、個別ブースがあります。
コワーキングスペース=大きなデスクをフリースペースとして共用。時には他の事業者と意見交換などをしながら作業をし、その相乗効果が期待できることもあります。
レンタルオフィス=「貸会議室」のように、必要な場合のみ、その空間を借りることができるのが一般的。月極や時間貸しなど、様々な形態があるようです。
バーチャルオフィス=ネットショップなど、主に自宅で作業を行う事業者などが、登記の際にその住所を「法人の所在地」として申請したり、事業開始後にネット上に公開したりするために利用します。
【九州の大手企業では初!西鉄がシェアオフィスを始めた理由とは?】
目下、注目を集めるシェアオフィス業界に、去年6月新風を吹き込んだのが、鉄道大手の西日本鉄道(以下、西鉄)です。九州の大手企業としては初めて、このシェアオフィスの事業に乗り出し、天神から徒歩1分の場所に、コワーキングスペース「天神COLOR」をオープンさせました。
「鉄道会社がシェアオフィスを運営する」とは、何とも不思議な話のようですが、その目的は「天神地区の活性化」と「起業家支援」です。
一般に、大手企業においては、なかなか新たなアイディアを事業展開するのが難しい面がありますが、コワーキングスペースの運営を機に起業家を支援することで、新たなアイディアを形にしていきたい、という訳です。
実際、今年1月には、起業家のアイディア発掘イベント「西鉄オープンイノベーション(共同研究開発)コンテスト」も開催され、その最終選考に残ったサービス「アンロックス」が、2016年5月30日から、西鉄が運営する遊園地「かしいかえん」で、期間限定で導入されています。
【まるで「海辺のカフェテラス」!変わり種のシェアオフィスまで登場】
また、敢えて博多や天神といったアクセスの良いオフィスエリアを離れ、リラックスした雰囲気を売りにしているシェアハウスもあります。福岡市西区の海辺に去年設けられたシェアオフィス「SALT」です。
「もはや一般的なシェアオフィスでは飽き足らない!」「潮風やさざ波を感じながら仕事をしてみたい!」というノマドワーカーには、うってつけのシェアオフィスかもしれません。
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