現在運営されている医療法人の多くが一人医師医療法人となっています。 以前は、医療法人の規制として、常勤の医師または歯科医師が3人以上いないと設立することができませんでした。しかし、その後昭和60年から、1人または2人であったとしても医療法人を設立することができるようになりました。 その結果、従前までの節税といった視点だけでなく、病院の相続・事業承継という視点からも、各種メリットを受けやすい医療法人という選択が見直され、医師ご自身と医師のご親族だけで設立することができるようになったこともあり、医療法人数は増加する傾向にあると言われています。 医療法人の増加要因としては、一人医師医療法人の増加によるところが大きいと言われています。 |
上記の一般的な動向で述べた一人医師医療法人とは、通常、常勤の医師または歯科医師が1人または2人の医療法人を指します。
従前までは認められなかった形態の法人であったため、一般にそのような名称が知られているという意味合いであり、法人設立の手続きに関しても一般の医療法人との大きな相違はありません。
福岡の状況について、少し古いデータになりますが、福岡では約2500の医療法人のうち、約2000法人が一人医師医療法人と言われています。
医療法人は、通常の株式会社などの法人と比較して、当然ながら各種の規制がかかります。例えば、医療法人では利益配当は禁じられています。その他、不動産賃貸、医療機器の販売、給食サービスといった収益事業についても規制があり原則としてこれらの収益事業は難しいと言われています。
もし仮に、収益事業を行いたいといった場合には、MS法人(メディカルサービス法人)を別に立ち上げるか、院長の個人事業として、医療法人の事業とは分離して実施しなければなりません。
○ 医療法人社団
拠出によって法人設立されます。上述の医療法人の規制でも述べましたが、現在、設立が可能な医療法人については、資金や財産を提供したとしても医療法人に対する持分を有することができません。さらに、万が一医療法人が解散するに至った場合には、残余財産となる剰余金は都道府県知事に認可を得て、国、地方自治体、他の
医療法人に帰属することになります。
そして、法人への拠出の方法は下記の通り2つの方法があります。
@ 医療法人から拠出者への返還義務がある基金制度
A 医療法人から拠出者への返還義務がない拠出制度
○ 医療法人財団
寄附による財産に基づいて設立される法人のことです。社団と同様に財産の寄附者に対しては、その寄付した財産に関する持分を有することは認められません。
医療法人の設立をご検討される場合については、通常、医療法人のほとんどを占める医療法人社団の形態をまづはご検討いただければと思います。